自己分析の方法:ステップ2:「要素分解」2

第1章│自己分析

【ポイント】

  • 「強み」は「成果」の困難と工夫の間に潜み、「弱み」は困難に眠っている。
  • 「強み弱み」はネイチャースキルまたはベーシックスキルから選択する。
  • 「価値観」は自身の業務役割で好きだったことや嫌いだったことを抜き出す。

 本記事は、自己分析の方法:ステップ2:「要素分解」1の続きになります。

この記事では、「強み弱み」そして「価値観」の分析方法を解説してきます。前回に引き続き、自己分析の中では重要なパートになります。なお、細かな論点になってしまうため、自己分析の方法:ステップ2:「要素分解」1で挙げた会計補助業務の具体例は別記事でまとめています。

ステップ2【要素分解】続き~

強み

 強みはcan=特に得意なこと/出来ることで、これは「成果」の困難と工夫の間に潜んでいます。口上書作成業務を例に考えてみましょう。口上書作成における「成果」は以下のとおりです。

【成果(困難・工夫・結果)】
  現地職員が作成する口上書案はしばしば文法や数字に誤りあり、注意しても雛形を作っても一向に改善しなかった。→チェックリストを作成し提出前の見直しを促すとともに、チェックリストに署名させることで責任の所在を明確にした。→ミスが減少し手直しの時間が削減されたほか、注意回数が減ったことで職員のモチベーションアップにも繋がった。

ここでの困難とは、「ミス頻発という状況に対して、注意や雛形作成というアクションを取ったにも関わらず事態が改善しなかったこと」と言うことができます。つまり、課題解決のために策を講じても機能しなかったということです。

そこでこのケースでは、手詰まりにならず今度はチェックリストの導入を行いました。AがダメならB、BがダメならC。めげずに次々と打ち手を考え実行できること、これは立派な強みになります。

弱み

「弱み」はcannot=特に苦手なこと/出来ないことであり、これは「困難」に眠っていています。「強み」と同じように、口上書作成における困難は「ミス頻発という状況に対して、注意や雛形作成というアクションを取ったにも関わらず事態が改善しなかったこと」でした。

これは厳しめに見れば無駄な時間を割いてしまったと言えます。アクションを起こす前に、その打ち手によってどのような効果が得られるのか?ということを十分に考えてから行動に移していれば、効果の出ないアクションを避けることが出来たかもしれません。

例えば、「○○現地職員は遅刻のことでも注意を受けているが一向に改善しない。口上書の件も、口頭やメールの注意はムダなのでは?」という考えを巡らせることが出来ます。

強みと弱みの言語化

では、これらを一言でいうにはどうしたらいいでしょうか。下の図を見て下さい。

これは、実際に私がアジア大洋州地域のリクルーティングダイレクターとして勤める会社の社内で活用しているスキル表を改めてまとめたものです。ネイチャースキルとは生まれ持った才能。ベーシックスキルは成人までに培った能力。アドバンスドスキルは後天的に経験や学習を通じて得たスキルです。

「強み弱み」というのは、基本的に幼少期から成人になるまでに完成しており、基本的には変わりません。集中力が無い人や爆発的な行動力がある人は、基本的に幼少期からずっとそうであるように、「強み弱み」は人の個性なのです。

したがって、「強み弱み」は上記表のネイチャースキルまたはベーシックスキルから選ぶことになります。アドバンスドスキルの部分は、ステップ4で活用するため改めて説明します。

さて、口上書作成の例で考えてみると、強みはめげずに次々と打ち手を考え実行できることであり、これは「忍耐強さ」と言えるでしょう。また、弱みは成果を考えずにアクションしてしまう点であり「想像力」が不足しているように思えます。

なお、人によっては、強みを「行動力」と考える場合もあると思います。これについては、客観的にも主観的にもある程度の腹落ち感があれば何れを選択しても構いません。「強み弱み」を面接で回答する場面を想像した際に、「成果」をベースに相手も納得するであろうロジックであれば結構です。

価値観

 最後に、「価値観」について説明します。「価値観」は非常に簡単で、携わった業務役割の中で好きだったことと嫌いだったことを思うままに書いてみましょう。この切り口で思いつかない場合は、楽しかったこと楽しくなかったことでも構いません。

【価値観】
  好き:徐々にミスが減ることを目の当たりにして達成感を感じた。
  嫌い:チェックリストにより現地職員の作業工程が増えたため、提出までに時間要するようになったことはストレスだった。

最後に、自己分析の方法:ステップ2:「要素分解」1で作成した内容と統合しておきましょう。

【経験:どんな業務に携わったのか?】
  文書作成(口上書)業務。口上書を通じて先方政府に公的メッセージを正確に伝える業務。
【役割:どんな役割を担ったのか?】
  現地職員によって作成された口上書案のチェック(文法・数字の正確性)を担った。
【成果(困難・工夫・結果)】
  現地職員が作成する口上書案はしばしば文法や数字に誤りあり、注意しても雛形を作っても一向に改善しなかった。→チェックリストを作成し提出前の見直しを促すとともに、チェックリストに署名させることで責任の所在を明確にした。→ミスが減少し手直しの時間が削減されたほか、注意回数が減ったことで職員のモチベーションアップにも繋がった。
【強み・弱み】
忍耐力・行動力:めげずに次々と打ち手を考え実行できる
  想像力  :成果を考えずにアクションしてしまう点
【価値観】
好き:徐々にミスが減ることを目の当たりにして達成感を感じた。
嫌い:チェックリストにより現地職員の作業工程が増えたため、提出までに時間要するようになったことはストレスだった。

このように、「口上書作成」という些細な業務からも、しっかりと手順を踏めば様々な要素を抽出することが出来ます。また、人事的な目線でこれらエッセンスを見ると、なんとなくこの人物は「頭で考えるよりも手足が先に動くタイプ?」と思うことが出来ます。例えばベンチャーや事業の拡大フェーズ等、早く小さいPDCAが求められるようなポジションであれば活躍が期待できそうです。

まとめ

  今回の記事では以下の手順で作業を行いました。

1 「成果」から「強み弱み」を抜き出す。

2 「成果」から「価値観」を抜き出す。

次のステップでは、これまでの作業結果をベースにして「自己PR」の作成を行います。そのためには、しっかりと要素分解が出来上がっている必要があるので、是非、前向きに取り組んでみてください。

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プロフィール
この記事を書いた人
お局人事

在外公館派遣員を経験後、外務省にて7年勤務する(専門職)。その後、日系大手に転職。本社の人事業務に5年間従事した後、出向先の地方中小企業にて人事部長を務める。現在は米系外資に転職し、アジア地域リクルーティングダイレクターを担う。

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